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2012/04/17

「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子・作

Tweet ThisSend to Facebook | by:akiko
 私はチェスは覚えなかった。マスターに出会えなかったし、リトル・アリョーヒンとも縁がなかった。チェスのイメージは西洋将棋なのだが、なぜか敷居が高いように感じていた。
 少年がマスターと出会ってチェスを学び、リトル・アリョーヒンへと導かれる過程は、運命としかいいようがない。リトル・アリョーヒンはリトル・アリョーヒンになるために、デパート屋上の象のインディラのエピソードを教訓とし、壁と壁の隙間に挟まって出られなくなった少女のミイラを友として、猫のポーンを撫でながら、マスターにチェスを教わるのだ。
 チェスを教わっている時の少年は幸福な時間を過ごしていた。いや、チェスをしている時は、その後のどの瞬間も、いつだって幸福だったのだ。
 どうして少年がその選択をしたのかではなく、限られた可能性の中でチェスを生業とできる唯一の選択だった。だが、少年が少年のままの姿を選択し、箱に納まる度に、私もまた息苦しく感じていた。少年がチェスの海を泳ぐ時、そして眠る時、私もまた海を泳ぎ、そして深く眠っていた。
 不思議なトランス状態を呼び起こす、物語である。
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